東屋とは?どんな建築なのか?

東屋

「東屋」という建物をご存じでしょうか?
聞き慣れない言葉かもしれませんが誰も一度は利用したことのある建物です。
東屋について詳しく解説していきたいと思います。

東屋(あずまや)とは?

庭園や公園などに設けられた小屋のような建築物で別名「亭(ちん)」。
基本4本柱で、壁もなく屋根だけが設置され、中には腰かけなどがあり休憩用や眺望用として利用される建物。

簡単にいうと公園や池のそばなどにある休憩用の小屋ですね。
壁がないのが特徴です。
屋根は茅葺き、藁葺き、板葺きが多く六角形や八角形の屋根が多く「宝形造」が多い。
現代では西洋風東屋「ガゼボ」として公園や観光地に建てられています。

東屋の語源・由来

東屋の「東」は都(京都)から見て東の国を表し、都から遠く離れた田舎のことを表します。

そこに住む住民のことを「東人(あずまびと)」と言い、<田舎者>という軽蔑の意味が含まれています。

そのことから「東屋」は東人(田舎者)が住む粗末な家という意味からきています。
「東屋」自体は決して粗末な建物ではありません。
あくまで、「東屋」という名前の由来が粗末な家としているだけで、現存する「東屋」は立派なものがたくさんあります。

四阿の読み方・東屋との違い

東屋と同じ建屋のことを「四阿」とも言い「しあ」と読みます。
「四阿」の「阿」は中国語で棟を意味し、屋根が四方に葺きおろした小屋という意味です。

では、「四阿」と「東屋」の違いですが、正直違いはありません。同じ建築物を違う呼び方をしているだけです。
しかし、言葉の由来は違うため、このふたつの違いについて少し調べてみました。

「四阿」の「阿」は中国語で棟ですが、中国では寄棟造を「四阿項」と言います。
「東屋」の屋根は寄棟など四方に軒をおろした「寄棟造」です。屋根は「宝形造」になっています。
一説によると、日本古来の木造建築は朝鮮建築・中国建築の様式が影響している可能性があります。

「東屋」はまたヨーロッパ建築に構造的に似た部分もあります。
「東屋」は母屋ではなく離れ的な構造ですが、ヨーロッパでも、原始的集落・入植地・仮設的な建物が日本の離れと構造的に共通している部分もあります。現代でいうとパビリオンが最も「東屋」に近いイメージです。

「東屋」は日本古来の建築物ですが、欧米やアジアの影響を受けていることは間違いありません。

「四阿」という言葉は「東屋」を指す言葉で他に意味はありません。おそらく中国語が起源だからでしょう。
対して「東屋」は源氏物語の第50巻の巻名、日本旅館の名前、または日本人の名字として他の使い方もされているのが「四阿」とは違うところです。

「東屋」を英語で言うと

「東屋」を英語訳すると、「pavillion」パビリオンになります。
さきほども述べましたが、やはり構造的にも似ているためパビリオンが英語訳になりますね。他には、「arbor」「summer house」「bower」などになります。

また「gazebo」ガゼボと呼ばれる西洋風東屋が有名です。
西洋の公園や庭園、公共の広場にあり「東屋」と同じく柱と屋根だけの構造で八角形のもの多いのが特徴です。

「ガゼボ」は休憩用または装飾用として庭に建てられる建築物で、似たような建築物に「バゴダ」(東洋の仏塔のような西洋庭園内の建築物)、ベルヴェデーレ(展望台)、パビリオン、キオスク、フォリーなどがあり、中東や南欧が起源とされています。

日差しの強い地域で、日陰から庭を眺望するために建てられたと言われています。
同様の構造をした建築物は中国やペルシアでもみられ、中国ではこのような「東屋」を「亭」と呼んでいました。その後、フランスやイギリスにも普及しており、「東屋」のような建築物は世界中に広まったと考えられます。

「ガゼボ」は中国の塔がモデルになっている可能性もあり、語源はいくつか説があるが、フランス語、ラテン語、アラビア語またはムスリムの居住区「カスパ」が語源ではないかと言われています。

現代の東屋

歴史があり古代からある「東屋」ですが、現在では自宅の庭に建てたりする方もいます。
DIYで比較的簡単に作ることもでき、都市計画区域外ならとくに建築確認申請も要りません(本来、新築で建築物を建てる際には建築確認申請が必要となります)。
「東屋」専用のDIYキットも販売されています。
「ガゼボ」を建ててガーデニングなどを楽しむ方もいらっしゃいます。

東屋はたんなる休憩所ではない

「東屋」の利用方法としては、休憩所や眺望用で間違いはないのですが、「東屋」が建てられた理由はそれだけではありません。

周りの風景に溶け込むように、マッチするように設計されています。
日差しを防ぐのはもちろんのこと、景観を損なわないこと周りの情景に溶け込むことで、素晴らしい景観の一部となり、風情を感じることが出来ます。

桂離宮の「卍字亭」は有名で素晴らしい景観になっています。
一度訪れてみてはいかがでしょうか?

「東屋」の歴史

世界中の「東屋」、「ガゼボ」などの宝形造、または同様の様式の建築物は歴史が古く古代からあります。

アメリカ合衆国では建国前から「ガゼボ」は普及しており、合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンや第3代大統領も「ガゼボ」の設置を指示していました。

中国の「亭」も宝形造で、周の時代から建てられていました。
漢の時代には見張り用や地方政庁として利用されていましたが、庸・唐の時代には富裕層の私的利用に変わり、風景を楽しむためまた、風景を構成するための重要な意味を持つようになり、観賞用だけでなく観賞の対象にもなっていきました。

「キオスク」もイラン・インド地方の庭園に設置されていましたが、これも歴史が古く13世紀にペルシアからトルコに伝わり、イスタンブールのトプカプ宮殿のまわりに多数存在しています。現在では、欧米で露店として利用され、日本の駅売店の「キヨスク」の語源になったとも言われています。

日本の駅売店の「キヨスク」が「東屋」と関係があるのは意外でしたが、それだけ世界中で「東屋」のような建物が昔から、その時代に合わせて変化し人々の生活に大きく関わり、人々に必要とされていたからこそ、今日まで普及してきたのだと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする